拝啓天皇陛下様(はいけいてんのうへいかさま)は、棟田博が週刊現代に連載した小説、及びこれを原作とした松竹製作の喜劇映画。映画は1963年4月28日公開。上映時間99分。
同作品公開翌年である1964年には、ほぼ同じキャスト・スタッフで「続・拝啓天皇陛下様」が公開されている。
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Dear Japanese Emperor (1963) / 拝啓天皇陛下殿のあらすじ
昭和6年1月10日、岡山の歩兵第10連隊に入隊した棟本博(長門裕之)は同じ中隊に配属された不思議な男性、山田正助(渥美清)と出会う。新兵は二年兵から厳しいシゴキを受けるが、山田は不況下でも三度の飯が食え風呂にまで入れる軍隊はまるで天国だと棟本にもらす。秋になり外出で花街の中島に出かけた2人は、そこで新兵いじめ常習の原二年兵(西村晃)を、それとは知らずに襖越しにからかいビンタを食らう。 これをキッカケに山田は原に対し復讐することを皆に誓うのであった。
原が満期除隊の時に復讐するつもりであったが、お人好しの山田は除隊間近になった原の機嫌取りに籠絡され、復讐の気持ちが揺らいでしまう。しかし原の除隊前夜仲間に焚きつけられ仕方なく相撲を挑むが本気で取り組まぬ原に業を煮やした山田は投げ飛ばしてしまう。痛がる(振りをする)原を寝台へ運んだ山田は懸命に謝りながら腰を揉むが当の原は寝言を呟きながら太平楽を決め込むのであった。
昭和7年、二年兵となった棟本と山田たちは、今度は逆に新兵をシゴキはじめるのである。ある休日外出の際、山田が泥酔し門限を破ってしまい、5日間営倉へ入る懲罰を受ける事になってしまった。中隊長の堀江(加藤嘉)は情に厚い人物であり、山田が居る営倉に入り共に正座するのである。晴れて山田の懲罰が解けたある日、堀江は山田に読み書きを勉強させようと、入隊前に代用教員をしていた初年兵の柿内二等兵を専属の教師に付ける。乗り気ではなかった山田も次第に読み書きが出来るようになり、少年倶楽部(のらくろ)も読めるようになっていく。
同年11月、天覧の秋季大演習。実物は勿論のこと、写真ですら天顔を拝した事が無かった山田は、勝手に鬼の形相を想像していた。だが、実際の天皇の優しい顔立ちに感激してしまい、親しみを抱く様になる。2年間の現役兵期間が終わり近くなった12月、堀江中隊長は無一文で入隊した山田に対し、満期除隊の際に着て欲しいと紋付の羽織と袴をプレゼントするほか、果樹園で働けるように手配するなど最後まで山田に親切に接し朝鮮竜山の連隊へ転属していく。
昭和12年、支那事変に伴う招集により再び兵役についていた棟本と山田は、南京が陥落したことを知る。仲間の兵隊たちは「これで戦争が終わる」と喜ぶが、帰るところがなく軍隊が天国だと思っている山田は自分だけは軍隊に残してもらおうと「ハイケイ天ノウヘイカサマ…」と手紙を書き始める。しかし、天皇に直訴することは不敬罪に当たるとして書きかけの手紙を棟本に取り上げ破り捨てられてしまう。結局、日中戦争は終結せず棟本や山田も戦地へ赴いた。昭和13年、中国では昔の中隊長であった堀江はすでに戦死し、棟本も徐州会戦の台児荘の戦闘で重傷を負う。負傷除隊後、自らの経験を『分隊長日記』として出版し人気作家となった棟本は昭和16年、九州で講演した際に、炭鉱夫として働く山田と再会する。その後、戦局の拡大のため棟本は従軍作家に、山田はまたも招集され兵士として、堀江が戦死した中国で終戦を迎える。
戦後、作家としての仕事を失い土浦で困窮生活をしている棟本夫妻のもとに浮浪者のような姿の山田がひょっこり現れる。棟本の妻たちと買い出しに行った山田は土産と称しニワトリを持ち帰るが、出所を聞かれ「徴発じゃ」との答えに棟本は日本人同士で盗みを働くことに烈火の如く怒り山田を追い出してしまう。その後、児童文学作家として再出発した棟本は、取材中の日光で喧嘩別れした山田と出会い再び交際が始まる。奥日光開拓のため入植していた山田はたびたび棟本夫妻を訪ね、同じ長屋の戦争未亡人手島国枝に片思いで惚れ込んでしまう。高給を得るため華厳滝から自殺者を収容する職につき、子持ちの手島と暮らす日を夢見る山田だが、あえなく振られてしまう。
昭和25年、東京に転居した棟本夫妻のもとに1年ぶりに山田が現れた。戦争未亡人の井上セイ子と結婚するので仲人を頼みに来たのだった。喜んだ棟本夫妻は快諾し山田共々準備を始めたある冬の朝、朝刊を一瞥した棟本の妻はそこに山田の死亡記事を見る。昨晩セイ子相手に痛飲泥酔した山田は千住大橋付近の日光街道を横断中トラックに撥ねられ即死してしまったのである。取り乱す妻をなだめとにかく確認のため警察署へ赴こうとする棟本。昨夜の回想に続き「拝啓天皇陛下様 陛下よあなたの最後のひとりの赤子がこの夜戦死をいたしました」とスーパーインポーズし幕が下りる。
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